住まいづくりの目的House
マイホームを空き家にしていると、こんなトラブルが発生してしまいます。
1人と人とのつながりを守り育む
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家族が集う場所や時間などは、家族構成や年齢によって様々です。
しかし、かつての日本の住まいに多く見られた土間や囲炉裏は、家族が集まる場所でした。
今なお残る畳は、弾力性や保湿性、部屋の空気の調質効果などがあり、集う家族や来客にとってリラックスできるくつろぎの場となるのです。
また、和室の仕切りは、現代の住まいで一般的になった回転式ドアではなく、襖や障子といった引き戸が使われます。引き戸は、隣の部屋の様子をうかがい知るには大きく開けて、遮りたいときは閉鎖したりと、状況によって開閉を自由に使い分けることができるのです。
こうして家族どうしがお互いに気にかけ合う暮らしを通じて、他者との関係に配慮した気持ちが育つことにつながっていきます。
2暮らしを楽しむ
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日本の住まいには、落ち着きや愛着などが感じられる、木や土など自然の素材を生かした意匠が施されています。
こうした素材や意匠は、視覚や触覚といった感覚的な豊かさを生み出します。
また、絵画や生花、料理、音楽、ペット、園芸などさまざまな趣味に重点を置くライフスタイルがありふれた現代ですが、趣味に限定する部屋を確保することは、難しい実情があります。
そこで、必要時に別の目的に使用できるよう融通性や転用性があり、汚損しにくいことや遮音性、隣室や庭とのつながりなどにも留意するようにします。
そして、住まいの中の自然を感じる空間としての庭の植栽も大切で、花木が四季ごとに変化する楽しみも、日々の暮らしに彩りを添え、潤いや豊かさを与えてくれのです。
3心地いい生活を送る
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日本の夏季は高温多湿であることから、「家のつくりようは夏を旨とすべし」と言い習わされてきたように、強い陽射しが屋内へ流入することを防ぎ、室内に涼風を取り入れる工夫が随所に施してきました。
たとえば、深い軒は高度が高くなる南からの陽射しを遮り、窓の外に設けるよしずは高度の低い東と西からの日射を防ぐとともに、開け放った窓を覆ってプライバシーの保護や防犯の面でも役立ちます。
そして、空気は、室内に滞留すると上昇するので高窓を設けて流出口とし、流入口として低い位置に地窓をつくると室内空気の循環が促されるのです。
日本の住まいは気密性や断熱性に劣るため、冬季を暖かく快適に暮らすための工夫のひとつが縁側です。
縁側と部屋の間を障子で仕切ることで二重構造となり、部屋が外環境と直に接することを防ぐ緩衝空間の役割を縁側に担わせ、厳しい寒さの外環境の影響を小さくしています。
4建物そのものを守る
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年間の降水量が世界平均の2倍もあり、台風の襲来が多い気候の日本では、古くから、豪雨や強風から建物を守る工夫が施されてきました。
雨からの影響を最も多く受ける屋根は傾斜をつけて雨水を速やかに排出するための形態ですし、軒を深くすることで雨が外壁に当たりにくくしています。
さらに、屋根に葺く瓦は、紫外線などに強く耐久性の高い材料でできていますし、瓦と屋根面の間に空気層ができるので、雨水や湿気が入っても、排水や感想を促します。外壁も、土壁の外側に板を張り付けたり、防水性の高い漆喰を使用するなど工夫をしています。
また、季節風が強く吹く地域では、防風や砂防のために屋敷林と呼ばれる、建物周辺に木々を植栽する例も見られます。
これらの工夫や知恵は、自然の力に対抗したり無理をしたりするのではなく、謙虚に向き合い、力を和らげる考え方に基づいているものなのです。