住まいづくりの目的~今に生きる日本の住まいの知恵~House

古来より日本の住まいは、木材による柱や梁などを骨組みとして、壁は土を用いて塗り仕上げを施し、屋根には瓦や茅、樹皮などを葺く工法で建てられてきました。

これら木材や瓦などの多くは、それぞれの地域で産出された自然の材料であり、代々受け継がれてきた生産技術を活かして生産されているものです。

また、外観に生かされる知恵は、屋根や軒にも見られます。

屋根に勾配がつけられているのは、雨水をいち早く建物の外に排出するための工夫であり、軒を深く張り出させることで、外壁に雨水を当たりにくくし、夏の強い日差しを遮るのです。

室内の工夫については、柱や梁を太くして取り付ける大きな窓が部屋に風を通し、太陽の明るい光を屋内に導く効果が得られます。

各部屋ごとに機能を待たせて使い分け

さらに、来客を迎える畳敷きの和室、室内と庭を隔てる縁側、日常の炊事を行う土間、農機具や漁具を手入れする作業場の役割がある板の間など、各部屋ごとに機能を持たせて使い分けられています。

そして、こうした住まいの中で営まれる生活は、四季折々に移り行く風情とともに日常の暮らしに豊かさや奥深さが付け加えれてもきました。

このような日本の住宅づくりの知恵や工夫は、それぞれの時代や地域における自然や社会文化の発達具合などによって生み出されてきました。

したがって、現代の暮らしにおいて、かつての工法が全てそのまま必要とされるものではないかもしりません。

しかし、エネルギー需要の抑制が社会全体の課題となっている今日、こうした環境親和型の知恵や工夫をあらためて見つめ直すべきもののひとつなのではないでしょうか。